猫食文化

アヒルの隣に置かれた食用ネコ

猫食文化(びょうしょくぶんか)とは、イエネコを食肉に加工し食べることで、世界各地にさまざまな形でみられる。

世界各地の状況

ネコをペットとして愛玩している人々の感情を害さないよう、犬食とともにタブー視されることが多い。ユダヤ教イスラームは肉食動物の摂取を禁じているため、信者がネコを食べることは許されない[1]。戦時や極貧状態の人々がやむをえずネコを食べるだけでなく、料理法を持っている社会も存在する。

アジア

中国の両広(広東省および広西チワン族自治区)とベトナム北部では、冬にネコの肉を食べると身体が温まると考える人々がおり、特に高齢者の間で多いが、より寒さの厳しい華北では猫は人間の食べ物と考えられていない。中国では年に400万匹の猫が食べられており、猫の消費は増加傾向にある[2]。街中の飯店では、外国人旅行者に配慮してふつう猫料理は出さない[2]

食べられる部位は胃腸とモモ肉で、後者は肉団子にして汁物に入れる。頭部と残りの身は捨てる。広東料理にはヘビ、ネコを鳳凰に見立てた 龍虎鳳中国語版という料理があり、強壮効果があると信じられている[2]

現地の動物保護に詳しい弁護士によると、中国国内の猫肉取引は禁じられており、2007年の法律でも「国内で通常食されない食物」の取引には特別な許可が必要としている。華南の飯店で出される猫肉は主に、許可を得たブローカーが安徽省江蘇省から仕入れたものである[2][3]。2010年1月26日には中国政府が、動物保護の観点から初の取り締まりに乗り出した[4]

中国ではペットとしてのネコの飼育が増えるにつれ、猫食文化への風当たりが強まり、抗議行動も起こるようになっている[5]。2006年6月には深圳市の有名な猫肉料理店が40名ほどの活動家から襲撃を受け、営業中止に追い込まれた[6][リンク切れ]。こうした変化は中国動物保護ネットワーク傘下の中国愛玩動物保護ネットワーク (CCAPN) 結成のおよそ2年後に始まった。40以上の団体が加わったCCAPNは2006年1月、広州市をはじめとする10以上の都市で犬食や猫食に対する抗議運動を行った[7][リンク切れ]。2008年にも犬食・猫食が増えていた広州で同様の騒擾が発生し、メディアで報じられた。

日本では幕末までネコが食されることもあった[8]。沖縄県では肋膜炎気管支炎肺病に効果があるとされ、汁物仕立てにしたマヤーのウシルなどが食べられていた[9]

朝鮮では、茹で肉から神経痛関節炎に効く強壮剤がつくられた[10]

ベトナムではネコ肉を「幸運を呼ぶ」として提供する食堂があり、中国などからの密輸が増えている[11]

南アメリカ

ペルーでは猫食は一般的ではないが、アフリカ系ペルー人の多い南部イカ県のチンチャ・アルタと北中部アンカシュ県のワリではフリカセシチューの具に用いられる。チンチャ・アルタでは、9月の聖エフィゲニア(『レゲンダ・アウレア』に登場するエチオピア王の娘)の祭りで料理法を実演している[12]。ワリではペルー高原部でよく食されるモルモットの代用として使われる。ワリ出身の人は俗にミシカンカス (mishicancas) と呼ばれるが、これはケチュア語の方言で「焼いたネコ」の意味である。

ヨーロッパ

スイスの農村ではネコが食される[13]タイムの小枝を付け合せに添える地域もある[13]ロイターは2004年1月に「スイス料理には仔犬や仔猫も含まれる。流通で販売することは禁止されているが、家庭での犬猫の消費を禁止する法律はなく、国内で毎年何頭のペットが屠殺されているか、把握することは難しい」と報じた[14]

ドイツの大手メディアである エクスプレス(ドイツの新聞)ドイツ語版が2011年に実施したアンケートによると、スイス人回答者の48%は、「ネコを食したことがある」と回答した[15]。一方、猫食禁止を主張しているスイス動物保護団体「SOSシャ・ノワレーグ」創設者は、国民の3%が猫を食しているとしている[16]

スペインバスク地方バスク自治州)にもネコのシチューやネコのソースがけのレシピがある。ルイス・リポルはその著書 Llibre de cuina mallorquina (『マヨルカ料理の書』)で、中世のネコの調理法を紹介している[要文献特定詳細情報]

中欧ではネコは厳冬期や凶作の年や、戦時に飢えを免れるものとして食されることがあり、2度の世界大戦中、「屋根のウサギ」と呼ばれた[17]

その他の地域

アリススプリングス一帯のアボリジニは、野良ネコを焚き火であぶり焼きにする。彼らはネコのシチューのレシピも開発している。この地方の他の住民の一部も「オーストラリア固有の動物相外来種のイエネコによって深刻な脅威にさらされている」という理由からネコを食べるようになった。科学者らは野良ネコを食べることで、体内に危険なバクテリア毒素が入り込むと警鐘を鳴らしている[18]

カメルーンでは、男性限定で特別な祝い事の折に、ネコを食べることで幸運を祈る地域がある[19]

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