炭鉱

石炭を運び出す場面
インドにある炭鉱(露天掘り)

炭鉱(たんこう、coal mine)は、石炭または亜炭を掘り出すための鉱山のこと。

なお、しばしば上記意味に対し、炭鉱と同じ読みの炭礦の表記が当てられる。その理由として石炭が金属ではなく、その採掘地を金属鉱山とも呼べないため、漢字のが「金偏」ではなく「石偏」となるのが正しいためとも主張される。また、石炭採掘の坑道という意味で通常用いられる炭坑もしばしば炭鉱を指すために使われる。本項目では上記定義が示す用語を「炭鉱」に統一し記述する。

歴史

石炭の採掘の歴史は、中国の考古学的形跡から紀元前約3490年以降とされる[1]。当初は鉱脈に沿って採掘する 樋押採掘英語版 ベルピット英語版[訳語疑問点]と呼ばれる縦穴を掘った後に底の周囲を(の形状に)採掘する手法が取られた。

18世紀の鉄鋼業・産業革命の需要

本格的な炭鉱開発が世界的に始まったのは18世紀に入ってからであった。その背景にはその時期に製鉄と燃料の需要が急速に高まったことを上げることができる。

  • 製鉄は、精錬するための原料に近世に入るまで木炭を利用していた。しかし木炭は大がかりな設備への使用は適さず、期待される需要に木炭で応えるには木材の消費量が過大となり、実際に製鉄を行っている地域の木材の消費は限界に達した。その結果、燃料費が高騰し、需要の急激な増加に追いつかなかった。
1612年になると、イギリスのスタードバントが石炭を原料としたコークスを使った製鉄法を発明し、後に ダッド・ダドリー英語版 エイブラハム・ダービー1世英語版らの改良により鉄の生産能力が高まり、それに伴い炭鉱開発も発展を遂げるようになる。
  • 燃料としての需要は、特にイギリスにおいて後に産業革命の原動力となった蒸気機関の発展と歩調を合わせたものであった。蒸気機関が紡績工場の動力として用いられるようになると、その熱源として石炭が重宝されるようになったのである。
その後の需要
  • 石炭ガスの利用により、多種の化学物質を石炭から抽出等する石炭化学が発展した。
  • 1882年、トーマス・エジソンが世界で最初の石炭火力発電所 パール・ストリート・ステーション英語版をニューヨークに建設した[2]。2009年の時点で、世界の電源構成比率における石炭火力発電の割合は約40%となっている[3]
日本史

日本では、江戸時代末期から筑豊唐津地方で採掘された石炭が個人消費されており、薪の代用とされていた。

日米和親条約締結後、函館などの港の開港により船舶への燃料供給の必要性が高まり、1857年安政4年)北海道白糠町で日本初の洋式坑内掘炭鉱が開発された[4]。さらに財政が逼迫していた諸藩が陣頭指揮をとって、炭鉱を開発していくようになる。当初は軌道に乗らなかったものの、瀬戸内地方の製塩業者向けの販路を見出すと大きく発展を遂げた。その当時の製塩では海水塩を蒸発させる燃料に松やにを利用していたが、その松やにの価格が高騰し、低コストであった石炭が歓迎されたのである。

このように炭鉱の歴史は、石炭の需要拡大と歩調を合わせてきたといえる。以下に述べる採掘方法の発展や都市の発展も同様である。

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