広角レンズ

広角レンズ(35mm判)
Nikon Nikkor AF 24mm f2.8

広角レンズ(こうかくレンズ、: wide lens, wide angle lens)とは、写真レンズの分類の1つである。「広角レンズ」を定義する厳密な基準はなく、標準レンズよりも「画角の広いレンズ」・「焦点距離が短いレンズ」という分類である。歴史的理由から35mmフィルムカメラで「標準」とされてきた50mmが望遠寄りであるためもあって、標準寄りの広角と、より広角側の広角、といった分類がされることもある。

特性

超広角レンズの撮影例
(35mm判換算で16mm相当の画像)

「広角レンズ」は、以下の特性も持つ。「超広角レンズ」は、その特性がより顕著になる。

広角レンズの被写界深度特性

広角レンズは被写界深度が深い。
35mm判の焦点距離28mmのレンズは、F値をF8・ピント位置3mで、約1.5m〜無限遠の被写界深度となる[1]
35mm判の焦点距離50mmのレンズでは、同条件で、ピントが合う範囲が約2.3〜約4.4m、被写界深度は約2.1mとなる[1]
上記のように異なる焦点距離のレンズを、ピント位置とF値を同一にして比較すると、広角レンズの方が被写界深度が深い特性を持つ。これは広角レンズの方が、焦点面の錯乱円の直径が許容錯乱円径以下となる距離である「焦点深度」が広くなる。「焦点深度」が広くなるということは、合わせたピント位置に対して「ピントが合っていると感じられる範囲」が前後により深くなるということである。
被写界深度が深い特性のため、スナップ撮影に向いているレンズとされる。また、被写界深度を生かしたパンフォーカス撮影にも適している。
被写界深度の例
(絞り:F2.8・ピント位置:5m)
焦点距離(35mm判) 14mm 24mm 28mm 35mm 50mm 135mm 300mm
ピントが合う範囲 1.5〜∞m 2.8〜26.2m 3.1〜12.3m 3.6〜8.1m 4.2〜6.1m 4.88〜5.13m 4.98〜5.01m
被写界深度 --- 約23m 約9.2m 約4.5m 約1.9m 約0.25m 約0.05m
許容錯乱円径=0.033mm[2]における計算値
焦点距離別の被写界深度の比較(F値=5.6)
Portrait24mm5 6.jpg
広角レンズ
24mm(35mm判)
対角線画角84度
Portrait50mm5 6.jpg
標準レンズ
50mm(35mm判)
対角線画角46度
Portrait100mm5 6.jpg
中望遠レンズ
100mm(35mm判)
対角線画角24度
橋の欄干やその影に注目すると、24mmではかなり奥まで合焦しているように感じられる。50mmでは橋の中ほどより先ではボケている。100mmでは欄干はボケている。なお作例では、被写体(人物)の大きさを一定にしようと撮影しているため、カメラから被写体までの距離(ピント位置)は異なる。

パースペクティブ効果

「広角レンズ」は、肉眼で見たときに比べて、被写体が遠くに写るため、遠近感(パースペクティブ)が強調される。
上図(「焦点距離別の被写界深度の比較」)では、広角レンズは「パースペクティブ効果」により、対岸が遠くにあるように感じる。
デフォルメ効果の例

デフォルメ効果

被写体との距離が近いとパースペクティブ効果の影響で、肉眼で見たときに比べて、近くにある被写体はより大きく、遠くにある被写体はより小さく写る。このデフォルメ効果により、被写体との距離が近いと人物撮影の場合は、肉眼に比べて、鼻が大きく目が離れて写る。

歪み

(これは次で説明する歪曲収差とは全く違うもので、幾何学的に(投影として)は歪みではなく、肉眼では立体として捉えているものが平面になることによる一種の錯覚である)以上の効果と幾何的には同じ原理によるものだが、広角レンズで撮影された写真では、画像周辺部にある立体物が外に向って流れるような形に歪んでいるように見える。

歪曲収差

超広角や一眼レフ用のバックフォーカスを長く取った、非対称(逆望遠)型の広角レンズでは、構成上樽型の歪曲収差が発生し、補正が完全でないことが多い。工業用レンズなど歪曲収差の補正を意識して設計されたレンズではほとんど発生しない[3][4]。なお魚眼レンズは意図的にこの収差による歪曲を利用したレンズである。

周辺光量落ち

主にコサイン4乗則による、周辺光量の低下がある。逆望遠型や、対称型でも前後の端を凹メニスカスレンズとしたタイプでは緩和されるが、そうではないハイパーゴンなどでは著しい。近年のディジタルカメラのセンサではテレセントリック性の問題もある。

耐ブレ性能

画角が広いことにより、手ぶれによるブレの影響が比較して小さくなるため、カメラの保持、あるいはシャッター速度に余裕がある。

撮り方によっては、実際に見た場合の印象と比べて空間を広く感じさせることができるため、ビジネスホテル等の内部の紹介や、住宅などの広告写真にも使用が見られることがある。この用途では、上で示したような特徴らしい特徴が出ないよう慎重に回避しながら撮影される。

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