ミューチュアリズム (経済理論)

ミューチュアリズム英語: Mutualism相互主義)は、自由市場と職業と用途を持つ社会であるとか財産規範の使用権を主張する経済理論であり、無政府主義学派の思想である[1]。この体制のひとつには、ちょうど経営を補うのに十分な、最低限金利で生産者に融資を行う、相互信用金庫(mutual-credit bank)の設立が不可欠である[2]。ミューチャリズムは、労働またはその製品が売却された時には、「そっくり同等の製品を生産するために必要な労働量」を具現化する製品またはサービスを交換として受け取るべきとする、ある種の労働価値説に基づいている[3]。ミューチャリズムの起源は、哲学者のピエール・ジョゼフ・プルードンの叙述である。

ミューチュアリストは、個人が労働していないと彼らが信じているローン、投資、賃貸を通じた収入を受け取っている人の考えには同意しない。プルードンはこの種の収入に反対したが、「君主の勅令、土地の賃貸、資本の利子を禁止したり抑圧するつもりは決してなかった。これら全ての人間活動の発露は、全員にとって自由であり自主的であるべきだと私は考える。私が提案する相互主義の普遍化から自然に必然的に生じた結果を除き、それらに修正、制限、抑止を求めることはない」と表明した[4]。それらが労働製品全体に対する労働者の権利を確保する限り、ミューチュアリストは労働製品における市場と財産を支持する。しかし、彼らは土地に対して条件付きの資格を主張しており、用途または職業が残っている限りその不動産を正当とする(プルードンはこれを「所持」と呼んだ)[5]。したがって、人的財産(personal property)を主張しているものであり、私的財産(private property)ではない。

ミューチュアリズムは19世紀アメリカの個人主義的無政府主義の経済原理に似ているが、それらと似ていないのはミューチュアリズムが大企業に有利という点である[6]。したがって、ミューチュアリズムの過去を振り返ると、時には個人主義的無政府主義の一形態だとも[7] 、また時にはイデオロギー的に個人主義と集産主義の間に位置する形態とも見なされている[8]。プルードン自身は「共産主義と財産の統合」として自らが追求した「自由(liberty)」だと述べている[9]。幾人かはプルードンを個人主義的無政府主義であると考えるが[10] [11] [12]、一方で他の人たちは彼を社会的無政府主義だと見なしている[13] [14]

ミューチュアリストは国家社会主義とミューチュアリズムを区別しており、生産手段の国家管理を主張しない。ベンジャミン・タッカー英語版はプルードンのことを「資本の所有を社会化することには反対だったにもかかわらず、プルードンはそれでも、少数を豊かにするために多くの人を貧困に陥らせる手段の代わりに、全員にとってその用途が有益になるようにして、資本所有の効果の社会化を目指した。...資本を競争の自然法則に従わせることにより、かくしてそれ自体の用途価格をコストに引き下げさせたのだ」[15]と述べた。

出典

  1. ^ Introduction”. Mutualist.org. 2010年4月29日閲覧。
  2. ^ Miller, David. 1987. "Mutualism." The Blackwell Encyclopedia of Political Thought. Blackwell Publishing. p. 11
  3. ^ Tandy, Francis D., 1896, Voluntary Socialism, chapter 6, paragraph 15.
  4. ^ Proudhon's Solution of the Social Problem, Edited by Henry Cohen. Vanguard Press, 1927.
  5. ^ Swartz, Clarence Lee. What is Mutualism? VI. Land and Rent
  6. ^ Woodcock, George. Anarchism: A History of Libertarian Ideas and Movements, Broadview Press, 2004, p. 20.
  7. ^ Carson, Kevin A.Studies in Mutualist Political Economy, Preface Archived 2010-12-21 at WebCite.
  8. ^ Avrich, Paul. Anarchist Voices: An Oral History of Anarchism in America, Princeton University Press 1996 ISBN 978-0-691-04494-1, p. 6
  9. ^ Pierre-Joseph Proudhon, What Is Property?, p. 281.
  10. ^ George Edward Rines, ed. (1918). Encyclopedia Americana. New York: Encyclopedia Americana Corp. p. 624. OCLC 7308909.
  11. ^ Hamilton, Peter (1995). Emile Durkheim. New York: Routledge. p. 79. ISBN 0415110475.
  12. ^ Faguet, Emile (1970). Politicians & Moralists of the Nineteenth Century. Freeport: Books for Libraries Press. p. 147. ISBN 0836918282.
  13. ^ Bowen, James & Purkis, Jon. 2004. Changing Anarchism: Anarchist Theory and Practice in a Global Age. Manchester University Press. p. 24
  14. ^ Knowles, Rob. "Political Economy from below : Communitarian Anarchism as a Neglected Discourse in Histories of Economic Thought". History of Economics Review, No.31 Winter 2000.
  15. ^ Tucker, Benjamin, State Socialism and Anarchism,State Socialism and Anarchism Archived 1999-01-17 at the Wayback Machine.
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