オーバードース

オーバードース
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
救急医学
ICD-1036-50
ICD-9-CM960-979
DiseasesDB3971

オーバードース英語: drug overdose)とは、身体あるいは精神にとって、急性の有害な作用が生じるほどの量によって、薬物が使用されることである[1]。それによって一時的、あるいは永続的な影響があり、最悪死亡することがある[1]。日本語では過剰摂取過量服薬と翻訳されている。略称は OD。過剰・超過を意味する over と服用量の dose との複合語である。

特に危険性が高いケースは、ヘロインモルヒネのような鎮痛薬、アンフェタミンアルコールベンゾジアゼピン系の医薬品や、これらが同時に摂取された場合である[2]。それらは作用する量と致死量が近い薬物である。逆に、大麻LSDでは安全係数(治療指数)が高く、重症例はほとんどない[3]

意図的な過剰摂取は、自殺企図を意味することがある[1]。数では違法な薬物よりも、合法的な薬物における方が多い[1]

近年、医師から処方された向精神薬を過量服薬する例が相次いでいる。アメリカ合衆国での調査では薬物による死亡は意図的でない死亡が多く、処方箋医薬品によるものが過半数である[4]。日本で精神科の患者に対する多剤大量処方が問題となり[5]、2012年の閣議決定で薬剤師の活用が提起されたが[6]、2014年度からは一定数を超えた処方の診療報酬が減額することとなった。日本で2010年に原因不明の死亡を司法解剖した約3,000人から、医薬品(841人、28%)やアルコール(22%)の検出が多く、医薬品の内訳は睡眠薬(306人、10%)、精神神経用薬(10%)である[7]。市販薬では、解熱鎮痛剤などの一般的な薬局で販売されているものが使われる。

英米では、医薬品の過剰摂取による死亡は、国際的な懸念となっている[8][9]。アメリカでは、11年連続で過剰摂取による死亡が上昇し、2010年にはアルコール以外に38,329人の薬物過剰摂取による死亡があり、死亡の原因となっている薬物は一般医薬品や違法薬物ではなく、処方箋医薬品が原因となっているものが過半数を超えている[4]。そのうち、鎮痛剤に使われるオピオイド系薬物の関与が16,651人で最多、鎮静催眠剤であるベンゾジアゼピン系薬物が6,497人で第2位、3位に抗うつ薬が3,889人と続く[4]。アメリカで特に死亡者の多いオピオイド系鎮痛薬による死亡者数は[4]、医療大麻が合法化された州では減少している[10]

歴史

米国におけるオピオイド鎮痛薬オーバードース死者数推移[11]
米国におけるヘロインオーバードース死者数推移[11]
米国におけるベンゾジアゼピンオーバードース死者数推移[11]
米国におけるコカインオーバードース死者数推移[11]

精神障害の診断には軽症の状態をうまく分離する境界がないため、製薬会社は薬を販売するために強力なマーケティングを推進し、アメリカでは精神障害の有病率が毎年20 - 25%ずつ増加し欧州でもあまり離れていない数字を維持している[12]。そして大手製薬会社は精神科の薬や他の分野においても、副作用を隠したり、処方した医師に奨励金を渡したり、適応のない病気に対してマーケティングを行ったりといった違法な行為を行ったため、2010年前後半にも、それぞれの製薬会社は数億ドルから数十億ドルの罰金を支払っており、犯罪的に販売していた[13]。そして街角で売られる(違法な)薬物よりも、処方箋医薬品による死亡が多くなるという結果を生んでいった[12]

アメリカでは2000年と比較して2005年には薬物関連死が1.5倍となり、その結果、自殺や銃による死亡を上回ることとなった[14]。特に2000年には4,000人程度であったオピオイド系鎮痛薬による死亡は、2010年には16,000人を超えた[15] アメリカ薬物乱用・精神衛生管理庁英語版(SAMHSA)は、薬物による自殺企図によって救急医療に搬送された件数は、2005年の151,477件から2011年には228,277件へと51%増加し、その内訳は(おそらく重複も数え)抗不安薬や睡眠薬が48%、鎮痛剤が29%、抗うつ薬が22%、医薬品以外ではアルコールが39%、違法薬物11%と報告した[16]。イギリスのキース・ヴァズ議員は、今行動しなかった場合の悲惨な結末を、今日のアメリカに見ることができると述べた[17]

医薬品の過剰摂取による死亡者は、英米で交通死亡者数をも上回り、国際的な懸念となっている[8][9]。毎年8月31日は、国際過剰摂取啓発デーである[18]

こうした状況から2013年に、精神障害の診断と統計マニュアルの第4版の編集委員長であったアレン・フランセスは、危険な過剰処方を防ぐために、大量や多種類など疑わしい処方を調剤薬局の販売システムなどで監視し、危険な処方や過剰な処方をする医師を割り出したりすることで対策し、逸脱者を懲戒することを提案している[19]。FDAの薬の承認後の監視プログラムは十分ではないので、悪い薬を特定し廃止することが必要だともしている[19]。アメリカにおける消費者への直接広告の禁止、適応外のマーケティング、病気喧伝の禁止なども必要だとしている[19]

アメリカ疾病予防管理センターによれば36の州で、処方薬の監視プログラムが稼働しており、これは規制されている処方薬や調剤を追跡する国営の電子データベースである[20]

2010年には、日本うつ病学会など4学会が合同で過量服薬防止の願いを出し[5]、2012年8月の日本の閣議決定で薬剤師の活用も提起されているが[6]、2014年度からは、一定数を超えた抗不安薬・睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬の処方には、診療報酬が減額されることが決定した。

アメリカでは、処方されたオピオイドによる過剰摂取死は2009年までの10年間で4倍となり、将来のヘロインによる死亡につながるのではと懸念されておりその増加は見られなかったが[21]、2010年と2011年に薬物過剰摂取死の最多であったオキシコドンを、2012年に急増したヘロインが上回った[22]。2016年8月、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、極度の眠気、呼吸抑制、昏睡および死亡につながることがあるオピオイドとベンゾジアゼピンの併用について、それら医薬品に、最も強い枠内警告を追加した[23]

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